米国の動向と研究助成

米国の動向と研究助成

2025年04月14日
その他
米国の動向と研究助成

今年も池田理化では再生医療分野の若手研究者に対するグラントプログラムの募集を開始しました。36歳未満の研究者の方々はぜひご確認ください。そんな中、米国では公的な研究助成金や研究プロジェクトの削減が米国の若手研究者に深刻な影響を与えているという報道がありました。ある調査では若手研究者の75%が海外でのキャリアを検討しているという結果も出ており、今後の動向が気になります。

「研究という言葉」の意味を検索すると、Wikipediaでは「研究とは、ある特定の物事について、人間知識を集めて考察し、実験観察調査などを通して調べ、その物事についての事実あるいは真理を追求する一連の過程のことである。」とあり、大まかな分類として「基礎研究」、「応用研究」、「開発研究」に分かれます。一般社会で活用される科学技術は開発研究の成果ではあるのですが、開発研究の多くは他の二つで得られる知見に基づいたものです。

よく基礎研究は「それをやって何になるの?」と言われるような場面が取りざたされます。企業活動や産業への貢献という観点では、基礎研究の成果がそれに活かされるまで長い道のりの様に思えるでしょう。利益を追求する団体である企業が基礎研究に対して莫大な資金を投資することは確かに非効率に見えますが、基礎研究がなくなってしまえば、現在の課題に対する解決策や新しい「何か」の発見は非常に難しくなると考えられます

研究は未知の真理を掘り起こす作業に似ています。その昔、人間は「真理」を求めて鉱脈を掘り始め、採掘するための道具を発展させながら「真理」を見つけてきました。しかし、価値ある発見にはより高度な道具や新たな視点が必要です。採掘を続けるためには硬い岩盤を掘るための道具が必要ですし、もしかしたら場所や方法を変えたほうが良いのかもしれません

社会には様々な課題や未知の真理が残っており、これらの発見につながる基礎研究は未来への投資とも言えます。研究者の新しい挑戦を支援する、という私の仕事に対して、今月は色々と思うところから始まりました。研究は未来への希望を紡ぐ作業です。このグラントプログラムが新たなイノベーションの第一歩となることを心より願っています。