2023.8.30
オートクレーブは、主に滅菌用として多くの研究施設で使用されている機器です。研究用の他、医療、製造の現場でも使用されています。
この記事では、研究に最適なオートクレーブの機種選定や、滅菌方法の選択、そして安全・清潔にオートクレーブを使用するため日常のメンテナンスやよくあるトラブルの対処法などの基本情報をお届けいたします。
皆さまの日々の研究にぜひお役立てください。
目次
オートクレーブとは
オートクレーブは、高圧下で発生させた高温の水蒸気により、微生物の滅菌や特殊な化学反応を行う機器です。ここでは、主にライフサイエンス系の研究や医療現場などで使用される、滅菌を目的とした高圧蒸気滅菌器としてのオートクレーブについてご紹介します。
高圧蒸気滅菌器としてのオートクレーブ
オートクレーブは、高圧蒸気滅菌器とも呼ばれます。その名称から連想される通り、本体内部に高圧環境を作りだし、加熱により発生する水蒸気(飽和蒸気)によって微生物を滅菌する機器です。高温・高圧・水蒸気を使用することで、後述する乾熱滅菌よりも低温・短時間で効率的に滅菌を行うことができます。調理用の圧力鍋をイメージするとわかりやすいでしょう。
オートクレーブは、研究・医療・製造現場で幅広く使用されています。ライフサイエンス系の研究室では、実験に使用する器具や試薬、実験後の廃棄物の滅菌に使用されます。実験に影響を及ぼす可能性のある微生物や、実験に使用した微生物の滅菌を目的としています。
医療現場では、手術器具などの医療器材の滅菌に使用されます。製造現場では、食品、医薬品、化粧品などの製造工程で製品の滅菌や密封容器の製作等に使われます。製品の品質や人体に影響を及ぼす微生物の滅菌による、品質管理を目的としています。
滅菌と殺菌、除菌の違い
日常生活でも滅菌、殺菌、除菌といった言葉を見聞きすることが多いと思います。いずれも微生物の数を制御する方法を指します。ここではこれらの違いについてご説明します。
滅菌の定義
「滅菌」とは、全ての微生物を殺滅または除去し、存在しない状態にすることを指します。
医薬品や医療機器においては、生育可能な1個の微生物が存在する確率を100万分の1以下にすることを滅菌と定義しています。
殺菌、除菌とは
殺菌と除菌は、菌を除去したり死滅させることにより微生物数を制御することを言います。
「殺菌」は、菌を死滅させることを指します。菌の種類や数の制限はなく、すべての菌を殺さなくても数が減っていれば殺菌となります。医薬品医療機器等法※で効果が認められた医薬品・医薬部外品のみが殺菌という表現を使用することができます。
「除菌」は、細菌を取り除き減少させることを指します。ただしカビや酵母などの真菌類は含まれません。医薬品医療機器等法※により殺菌の表現が使用できない、食器用・洗濯用の洗剤や漂白剤などの表示に使用されます。
このように滅菌、殺菌、除菌は、いずれも微生物の数を制御する方法を指しますが、滅菌は菌をなくす作用が最も強い方法となります。
※正式名称は「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律」。略称は「医薬品医療機器等法」「薬機法」。
滅菌の種類
滅菌には主に以下の方法があります。滅菌対象物の特徴に合わせて滅菌方法を選択する必要があります。
高圧蒸気滅菌
オートクレーブにより、高圧下で高温の水蒸気を使用して滅菌する方法です。水蒸気を用いることで熱伝導率が高く、後述する乾熱滅菌よりも低温、短時間で処理することができます。耐熱性のある芽胞の滅菌も可能です。高圧化では水が液体の状態で存在できるため、水分を含むものも滅菌することができます。水蒸気を用いるため、毒性がないというメリットもあります。
このように、高圧蒸気滅菌は最も信頼性が高い滅菌方法で、かつ滅菌対象物の適用範囲が広いため、医療器材の滅菌にも多く利用されています。
乾熱滅菌
高圧蒸気滅菌と異なり、水蒸気を使用しない滅菌方法です。乾熱滅菌器やオーブンと呼ばれる機器を使用します。水に弱い材質や、水蒸気が浸透しづらいものの滅菌に優れています。オートクレーブよりも高温・長時間の処理が必要で、一般的に160~200℃で30分~2時間程度の処理が必要です。
このような特徴から乾熱滅菌は、高温・乾燥に耐えられる金属、陶磁器、ガラス等の実験器具の滅菌に適しています。一方で培地、プラスチック等には不向きです。なお紙類の滅菌も可能ですが、加熱による変色が発生したり、温度条件によっては発火の恐れがあるため、注意が必要です。
ガス滅菌
主に酸化エチレンガス(EOG)を使用する滅菌方法です。主に医療用器材で、高圧蒸気滅菌などの熱に耐えられない素材の滅菌に使用します。40~55℃と低温で処理するため、熱に弱いゴムやプラスチック等の滅菌に適していますが、液体やガスが浸透しづらい素材には適用できません。
酸化エチレンガスは人体への毒性が強く、ガスが滅菌物に残留します。そのためガス滅菌後には8時間以上の長時間のエアレーションが必要になります。
ろ過滅菌
微細な孔が開いたフィルターを通すことで、孔径以上の大きさの微生物を除去する方法です。フィルターの孔径より小さいウイルスやマイコプラズマ等の微生物は除去することができないため、厳密に言うと滅菌ではありませんが、一般的には滅菌の一種として扱われています。一般的には孔径0.2μmのフィルターを使用します。
培地成分や培地に添加する抗生物質や血清など、熱によって変性する試薬の滅菌などに使用されます。
オートクレーブの原理と仕組み
オートクレーブは実験用の器具や試薬などの高圧蒸気滅菌を行う機器です。ここではオートクレーブの原理と仕組み、そしてその特徴から滅菌できるものとできないものについてご説明します。
オートクレーブの原理
オートクレーブは高圧蒸気滅菌器とも呼ばれ、高圧、高温の水蒸気(飽和蒸気)を利用します。
水は大気圧では100℃で沸騰しますが、加圧することで沸点が上昇します。2気圧に加圧した場合、水の沸点は121℃になります。
オートクレーブはこの原理を利用して、加圧によってより高い温度で水を沸騰させることで高いエネルギーを持つ水蒸気(飽和蒸気)を作り出します。水蒸気は空気よりも熱伝導度が高く、物体の表面から内部まで浸透し均一に加熱することができるため、短時間で滅菌を行うことができます。
また高圧下では高温でも水が液体の状態を保つことができるため、水分を含む培地や試薬なども滅菌することができます。水蒸気は加熱後には水となるため、滅菌対象物に残留物が残りません。
オートクレーブの仕組み
ここでは一般的に縦型のオートクレーブの構造についてご説明します。
オートクレーブの内部、缶体内には、底部に滅菌用水を入れる場所がありヒーターが設置されています。その上にすのこを設置し、滅菌する器具や試薬を入れたステンレスカゴや滅菌バッグを置きます。
機器のふたを閉め運転を開始すると、温度と圧力の上昇により水蒸気が発生します。缶体内の空気と水蒸気が置換されると排気弁が自動で閉じ、設定した温度と圧力まで上昇させます。温度、圧力、時間はプログラムで制御され、設定条件で滅菌を行った後、排気弁より水蒸気を排出して圧力を開放します。
滅菌できるものとできないもの
前述の通り、オートクレーブは高温・高圧の水蒸気を使用した機器です。滅菌の適用範囲は広く、ガラス製のビンや試験管、磁製・金属製・ゴム製の器具、紙製品、作業着やガーゼ等の布製品、耐熱性プラスチックの滅菌が可能です。また高圧下では高温でも水が液体の状態を保つことができるため、培地や水、試薬などの液体も滅菌することができます。
一方、熱に弱いプラスチックやパラフィン、粉末、光学機器などは滅菌することができません。
液体試薬の中でも熱により変性してしまうものもあるため、事前に試薬の添付文書等でオートクレーブで滅菌できるものとできないものを確認してください。
オートクレーブ滅菌の方法と注意事項
オートクレーブ滅菌の手順
ここでは一般的なオートクレーブ滅菌の手順についてご説明します。機種によって異なる部分がありますので、詳細は事前にお使いの機種の取扱説明書を確認してください。
1.缶体内に滅菌用水を入れる
すのこが少し浸る程度の滅菌用水を入れます。滅菌用水が汚れている場合は、古い水を廃棄してから新しい滅菌用水を入れます。滅菌用水には精製水、蒸留水、水道水などを使用しますが、機種によって異なります。指定外の水を使用すると汚れや故障の原因となりますので、必ず事前に取扱説明書を確認してください。
2.滅菌対象物を入れる
滅菌したい実験器具や試薬、サンプルを缶体内に入れます。その際、滅菌対象物の形状や目的に応じて、専用のステンレスカゴや容器、滅菌バッグを使用すると、出し入れが容易になり、缶体内の汚れ防止になります。
また水蒸気が通り適切に滅菌できるように、滅菌対象物同士が密着しないようにしましょう。
3.ふたをセットし、ハンドルを閉める
本体のふたには密封性を高めるためパッキンがありますので、適切にふたをセットしハンドルを閉めます。
4.排気弁を閉じ、滅菌プログラムを設定し運転開始
温度・圧力といった滅菌条件は、滅菌対象物や容量によって異なります。事前に適切な条件を確認してください。
5.滅菌終了後に滅菌物を取り出す
滅菌プログラムが終了すると、オートクレーブは自動的に停止します。滅菌が終わった直後にふたを開けると、高温の水蒸気で火傷をする危険があります。内部の圧力が解放され、冷却されたことを確認した後に、滅菌物を取り出します。
液体のオートクレーブ滅菌
オートクレーブは培地や試薬等の液体も滅菌することができます。しかし高温・高圧処理を行うため、作業者の火傷や本体の故障などに繋がる恐れがあります。液体を滅菌する際のポイントを知り、安全、適切に滅菌を行いましょう。
オートクレーブ対応の容器を使用する
熱や圧力に弱い素材の容器は使用できません。必ずオートクレーブ対応の容器を使用してください。
傷や変形のある容器を使用しない
ひびや傷の入った容器を使用すると、容器内の圧力が上昇した際に破損する恐れがあります。使用前に、容器に傷や変形などの異常がないことを確認してください。
容器を密閉しない
容器のふたを密閉した状態でオートクレーブにかけると、容器内の圧力が上昇し破損する恐れがあります。また容器内の空気が抜けにくくなり、滅菌不良の原因となることがあります。
容器のふたを解放するか、通気性のある栓等を使用してください。
突沸に注意する
滅菌終了後の液体は、缶体内の温度よりも冷却までに時間がかかります。そのため運転終了直後に滅菌物を取り出すと、その衝撃により突沸し、火傷をする恐れがあります。十分に冷却していることを確認してください。
池田理化の
オンラインカタログでは主にオートクレーブ本体をご紹介していますが、液体のオートクレーブ滅菌に使用する容器も豊富に取り揃えております。また一定の温度以下になるまで本体のふたを開けられないように制御できるオートクレーブなど、安全に配慮した製品も取り扱っています。機種や容器などの選定にお困りの際は、お気軽に
お問い合わせください。
オートクレーブ滅菌の温度、時間
オートクレーブ滅菌を行う際は、処理温度と時間を設定します。滅菌対象物の種類、容器の大きさ、缶体内への収納状態により条件は異なりますが、115℃・30分~135℃・3分で滅菌を行います。一般的な実験器具等の滅菌は121℃・20分で行うことが多いです。
滅菌時間は、缶体内の全ての部分が規定の温度に達してから起算します。オートクレーブの運転開始後、オートクレーブ内部と、内部に入れた滅菌対象物が設定温度に到達するまでには、タイムラグがあります。そのため、この遅れを考慮して処理時間を設定する必要があります。
また滅菌対象物の量が多くなるほど、タイムラグは大きくなります。規定の滅菌時間が足りなくなり、滅菌が不十分になる恐れがあります。そのため滅菌対象物の処理量は、各オートクレーブの規定量を保つようにしてください。
関連法について
労働安全衛生法、ボイラー及び圧力容器安全規則
オートクレーブは、高圧・高温・水蒸気(飽和蒸気)を利用するという特徴から、労働安全衛生法に定める「圧力容器」に該当します。圧力容器は、規模の大きい順に、第一種圧力容器、小型圧力容器、簡易容器と分類されています。高圧蒸気滅菌器として使用される実験用オートクレーブの多くは、小型圧力容器または簡易容器に分類されます。
労働安全衛生法とボイラー及び圧力容器安全規則により、小型圧力容器は1年に1回の定期自主検査とその結果の記録が義務付けられています。簡易容器に自主検査の義務付けはありませんが、安全に使用するために、小型圧力容器と同様に定期自主検査を実施することをおすすめします。
メーカーに定期自主点検査を依頼することで、検査項目に加え、電気系統の点検、各種安全装置の動作や缶体温度の妥当性の確認、消耗品の点検・交換等、より詳細な機器の状態を確認することができます。
オートクレーブを安全かつより長く使用するために、メーカーによる検査も適宜活用するとよいでしょう。
医薬品医療機器等法※
医療用のオートクレーブは、クラスⅡの管理医療機器、特定保守管理医療機器に分類されます。また販売には「高度管理医療機器販売業」の許可が必要となります。詳細は、後述の
医療用オートクレーブの項目を参照してください。
※正式名称は「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律」。略称は「医薬品医療機器等法」「薬機法」。
オートクレーブの種類
高圧蒸気滅菌器としてのオートクレーブを用途で分類すると、医療用、工業用、実験用の3つに大別されます。
本記事では主に実験用オートクレーブを中心にご紹介していますが、池田理化では医療用や工業用オートクレーブの販売実績もあります。オートクレーブに関する不明点や機種選定に関するご質問などありましたら、お気軽に
お問い合わせください。
医療用オートクレーブ
医療現場で医療器具や材料の滅菌に使用するオートクレーブは、管理医療機器(クラスⅡ)、特定保守管理医療機器にあたります。そのため、販売には医薬品医療機器等法※に基づく「高度管理医療機器販売業」の許可が必要となります。また購入後の機器は、「特定保守管理医療機器」として管理する必要があります。
医療用オートクレーブに該当する製品は、「医療機器」や「メディカル用」と表記されています。一般の実験室で使用することも可能ですが、「特定保守管理医療機器」としての販売・機器の管理を求められますので、注意が必要です。
※正式名称は「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律」。略称は「医薬品医療機器等法」「薬機法」。
工業用オートクレーブ
製造に使用されるオートクレーブは既成品と特注品があります。製造規模や用途によってレトルトパウチ食品や、缶詰・びん詰などの小ロットでの製造、製造工程導入に向けた試作評価用には、既製品のラインナップがあります。
食品、化粧品、医薬品などの大量生産用には、滅菌対象物の種類や滅菌条件、処理量、製造ラインとの組み合わせやレイアウト等、様々な条件に対応できる特注品があります。
実験用オートクレーブ
実験用は、理化学機器として一般の実験室で使用するオートクレーブです。「ラボ用」と明記されている場合もあります。
医療機器でないため、医療現場では使用できません。医薬品医療機器等法※に基づく「高度管理医療機器販売業」の許可や、「特定保守管理医療機器」としての機器の管理は不要です。
実験用オートクレーブは、缶体容量10~120L程度のラインアップがあります。滅菌対象物の種類や量に合わせて選ぶとよいでしょう。
※正式名称は「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律」。略称は「医薬品医療機器等法」「薬機法」。
最適なオートクレーブを選ぶ7つのポイント
オートクレーブの選定にはいくつかのポイントがあります。ここでは実験用オートクレーブについてまとめています。
これからご紹介する7つのポイントを見ていただければ、きっと最適な機種の選定にお役立ていただけると思います。
1.何を滅菌したいか
オートクレーブを選定する最も重要なポイントは、滅菌の目的つまり何を滅菌したいかです。
滅菌対象物の種類よってはオートクレーブ滅菌が適用できないため、他の方法を検討する必要があります。
また用途によっては、購入段階で法規制の対象となります。実験用の場合は、一般的な理化学機器として購入することができます。しかし医療現場で使用するオートクレーブは、医療機器として販売許可と機器の管理が義務付けられています。
滅菌したいものが、これから実験に使用する器具や試薬なのか、微生物が生育したシャーレの滅菌なのか等によって、滅菌缶やステンレスカゴ、滅菌バッグなど、必要なオートクレーブ用アクセサリーも検討するとよいでしょう。
2.どれくらいの容量が必要か
実験用のオートクレーブは、缶体容量10~120L程度のラインナップがあります。一度に滅菌したい滅菌対象物の量によって、機種を絞り込むとよいでしょう。なお容量いっぱいに滅菌対象物を詰め込むと、滅菌不良の恐れがあります。滅菌対象物を入れても、余裕のある容量を選ぶとよいでしょう。
オートクレーブは縦型・床置きタイプが多いですが、缶体容量が小さい卓上型の機種もあります。
3.どれくらいの滅菌温度と時間が必要か
必要な滅菌温度と時間を確認しておきましょう。オートクレーブの機種によって、単一温度で処理を行うもの、特定の温度帯で切り替えるもの、幅広い温度帯で自由に温度を設定できる機種があります。
複数の滅菌対象物を、複数の条件で滅菌する場合は、フレキシブルに条件を設定できる機種を選定することをお勧めします。
4.電源はどのような形状か
必要な電源やプラグの形状は機種によって異なります。そのため研究室の電気環境や、必要に応じて工事ができるのかといった点は、必ず事前の確認が必要です。
オートクレーブは高温・高圧を利用する機器であることから、缶体内容量が大きくなるほど必要な電気容量は大きくなります。三相や200V、15Aを超える仕様の機種もあります。
現場での使用に困難が生じる可能性がありますので、研究室の電気容量、電圧、使用予定のコンセントへの他の機器の配線状況を確認することをお勧めします。また接地(アース)の有無やコンセントの形状も必ず確認してください。
使用する機器の電源仕様と研究室の電気環境によっては、研究室内の既存の設置機器のレイアウト変更や専用の電気工事が必要になる場合もあります。
5.どこに設置するか
缶体容量の小さいオートクレーブは、卓上型と床置き型があります。限られたスペースで使用したい場合は、卓上型を選ぶとよいでしょう。
オートクレーブの運転中には、熱や蒸気が発生します。熱に弱く影響を受ける機器やサンプルの付近を避けるなど、設置場所を考慮する必要があります。設置条件は機種によって異なるので、事前に確認することをお勧めします。
また機種によっては、蒸気供給設備を併用し直接水道から給水するタイプもあります。そのため水道との距離も考慮する必要があります。
6.その他にほしい機能は何か
メーカー各社、様々な機能を搭載したオートクレーブをラインナップしています。実験室での使用シーンや作業内容によって必要な機能を検討するとよいでしょう。
重くかさばる滅菌対象物をオートクレーブから出し入れする際は、両手でステンレスカゴ等を持って作業することが多いと思います。そのような場合は、フットスイッチでふたが上方に開く機種を選ぶと作業がしやすいでしょう。
培地など加熱中や滅菌後の取り出し時ににおいが強いものを滅菌する場合は、蒸気やにおいを抑制する機能を搭載した機種もあります。
より安全性を考慮したい場合は、空焚きを防ぐ機能や、缶体内の圧力と温度を検知しふたをロックするインターロックなどを装備した機種を選ぶとよいでしょう。
複数の温度・時間を組み合わせて滅菌を行う場合は、プログラムを設定し保存できるタイプもあります。
また滅菌条件やプログラム設定を行うディスプレイがカラータッチパネルの機種もあります。
7.その他
機種によっては滅菌用のステンレスカゴが付属しています。必要な付属品の種類や数を確認し、必要に応じて追加するとよいでしょう。特注が可能な付属品もあります。
また医薬品製造のGMP、食品製造で求められるHACCP管理への対応が必要な場合は、対応可能な機種もあります。
ここまで、オートクレーブの原理と仕組み、滅菌・殺菌・除菌の違い、オートクレーブ滅菌の手順、関連法令、オートクレーブの種類と選定ポイントについて解説しました。
オートクレーブの使用にあたっては機種選定だけでなく、滅菌に使用する容器や、ステンレスカゴや滅菌缶などのアクセサリー、洗浄剤なども検討する必要があります。また用途に合わせてカスタマイズしたいなど、カタログだけでは判断がつかないケースも多くあるでしょう。
池田理化は、1931年の創業以来、研究者の皆さまをサポートしてきたノウハウや経験に基づき、常時3,000 社を超える取り扱いメーカーの製品から最適な製品をご提案します。選び方に迷ったり、特別な仕様が必要な場合など、オートクレーブで分からないことがあれば、当社までぜひご相談ください。