Fluigent 社Organ On Chipプラットフォーム「OMI」に触ってみた

Fluigent社Organ On Chipプラットフォーム「OMI」に触ってみた

2025年03月06日
製品情報
 Fluigent  社Organ On Chipプラットフォーム「OMI」に触ってみた
昨年の動物実験代替法学会でも展示していたフランスFluigent社のOrgan On Chipプラットフォーム「OMI」について、日本で輸入販売を手掛けているASICONさんのご厚意によりデモ機をお借りし、装置について勉強させていただきました!

Organ On ChipなどのMPSの試験系は、チップ、細胞、そして送液系の3要素にて構成されます。弊社でもMPSの送液系には複数メーカーの特徴あるポンプを研究の要望に応じて紹介していますが、微量送液は代理店が思う以上に複雑で奥が深いものです。Fluigent社の送液システムといえば「Flow EZ」。これは脈動なく極微量の液体を精度高く送ることができるため、第一選択として挙げられるほど広く知られています。PCを使ったインターフェースは全体が把握しやすく、スタンドアロンでも使用できるのが良いところ。フランスのメーカーらしく、洒落たデザインも魅力の一つです。

しかし、Flow EZに限らず、マイクロ流体デバイスの試験では、試験に応じたチップ以外の流路を組むことにも慣れが必要です。流路のプライミングや接続の手順など、慣れてしまえば面白いと感じる人も多いですが、これを面倒に感じる人もまた非常に多いです。チューブの本数も増えますし、チューブの長さによってプライミングの液量も変わります。気が付いたら机の上をケーブルとチューブが這い回り、組んだ後は送液の制御を考える作業が待っています。

その点、一見お弁当箱のような形をした「OMI」はこれらの課題を解決する製品だと思いました。面倒な送液系は本体とディスポーザブルのチップにまとめられているため、ユーザーはこれらをセットするだけでハードウェアの準備は終了です。研究目的に合ったチップは別途用意する必要がありますが、これは特別なものを用意する必要なく、従来使用されていたチップが使用できます。

OMIのソフトウェアはFlow EZとよく似たわかりやすいインターフェースでしたが、このソフトウェアではプライミングはもちろん、1方向への送液やサーキュレーションなどのプログラムも可能です。これらをステップバイステップで視覚的に作成できるため、非常にわかりやすかったです。余計なことを考えずにサクッと組めるのは非常に楽ですね。
操作は本体だけでも可能ですし、タブレットからも制御できます。個人的にはタブレットPCでの操作が多くの情報を視認しやすく好ましく思えたのですが、実際に操作してみると、OMI本体の操作で次のステップに進められるが非常に楽でした。プロトコルを実行した後は、本体に表示されるガイド等に従って作業を進めるだけなので、おそらく使用に慣れるほどに本体で操作ができることを楽に感じるようになると思います。

プロトコルを開始すれば、タブレットPCや本体で圧力や送液量など動作状況を一目で確認できます。クラウドサーバにアクセスすれば、自宅PCからでも動作状況を確認可能です。

OMIは本体ごとインキュベータに入れられるため、長時間の試験系にも使用可能です。 Flow EZはインキュベータの中には入れることができないため、細胞をインキュベータ内で維持したい場合には、ポンプからチップまでの流路を長くする必要がありました。流路が長いとデッドボリュームも多くなりますし、取り回しが面倒になるんですよね…。そういう意味でもOMIは小回りが利く製品だなと思いました。

インキュベータの中にイメージング機器と一緒に入れられたらなぁと思いましたが、それは別途考えたいと思います。でも、MPSやOrgan On Chipの場合、タイムラプス観察はそこまで必要ないかもしれませんね。

最初に行うセンサーのキャリブレーションと試験終了時の洗浄、滅菌が少し手間に感じるかもしれませんが、チューブの管理やプライミングを手動で行っていたことを考えたら、こちらの方が楽かもしれません。OMIはFlow EZのようなポンプと比較して考える製品というよりは、ポンプから一歩進んだシステムで試験を行いたい方に向いていると思います。

私でしたら、複雑な試験(複数の液体を切り替えて送液したいとか、3液以上の液体を同時に流したいなど)系だったらFlow EZ、1~2液の送液を行うOrgan On chipだったらOMIを選択します。

実際にOMIに触れてみるまでは、Fluigent社のFlow EZのイメージが強すぎたせいかOMIはFlow EZの延長線上にある製品だと思っていましたが、実際に触ってみると、「Organ on chipプラットフォーム」はOMIの特性を的確に言い表しているんですよね。Organ On Chip自体の開発や、試験系の手軽な構築に興味がある方に最適だと思います!ご興味を持っていただいた方はぜひお問合せください。